
「運動神経が悪いように見える人の特徴とは?理学療法士が9項目で解説
悩む母うちの子、センスがないのかな…


例えば・・・
・走るとバタバタする
・切り返しで流れる
・ボールを投げると腕だけになる
・しゃがむと膝ばかり頑張る
・フォームを教わっても毎回少し違う
運動神経が悪いのは才能不足ではなく、身体の使い方や感覚の問題として整理できることがあります。理学療法士がわかりやすく解説します。
練習しているのに、なぜかうまくいかない
「頑張っているのに、動きがぎこちない」
「何度教えても、フォームが安定しない」
「うちの子は運動神経が悪いのかもしれない」
こうした悩みは、学生アスリート本人にも、保護者の方にも、意外と多いものです。
実際の現場でも、
練習量は少なくないのに結果につながりにくい子、
一生懸命やっているのに「不器用」に見えてしまう子に出会うことがあります。
そんなとき、単純に
「センスの問題」
「生まれつきだから仕方ない」
で終わらせてしまうのは、少しもったいないと感じています。
なぜなら、動きが苦手に見える人の中には、
ただ才能が足りないのではなく、身体の使い方や感覚の育ち方に共通した特徴が見られることがあるからです。
この記事でわかること
「運動神経が悪い」で終わらせないために
見た目には不器用に見える動きでも、
といった背景が隠れていることがあります。
つまり、問題は単なる才能不足ではなく、
身体のどこでつまずいているか
という視点で整理できることがあります。
努力が足りないのではなく、“土台”がうまく使えていないことがある
頑張っているのに成果が出ないと、どうしても
「もっと練習しないと」
と考えやすくなります。
もちろん、反復練習は大切です。
でも、どれだけ繰り返しても変わりにくいときは、練習量だけでなく、その動きを支える身体の土台を見直したほうがよいことがあります。
運動が苦手に見える人に多い9つのポイント
ここからは、現場でよく見かける特徴を、全体像として整理してお伝えします。
全部が当てはまるとは限りません。
ただ、「うちの子にもあるかも」「自分にも当てはまるかも」と考えるきっかけにはなるはずです。
運動が苦手な子の9つのポイント
①身体の軸がない
②猫背
③股関節が硬い
④前ももばかり頑張りやすい
⑤身体の中心と手足がつながりにくい
⑥手足を狙った位置に保つのが苦手
⑦足元で地面をうまく使えていない
⑧頭や首の位置が傾いている
⑨人の指示を優先しすぎて、自分の感覚が育ちにくい


ここからは、1つずつ簡単に見ていきます。
1. 身体の軸がない
手足を動かしたときに、身体の中心まで一緒にぶれてしまう人がいます。
すると、走るときにバタバタして見えたり、切り返しでふらついたりしやすくなります。
本人は一生懸命でも、動きが落ち着かない印象になることがあります。
これは「雑だから」ではなく、まずは身体の真ん中で支えることが難しいのかもしれません。
見られやすいサイン:走る時にバタバタバタしたり、ふらつく
2. 猫背
投げる、振る、伸びる。
こうした動きでは、背中まわりのしなやかさがとても大切です。
猫背だと、肩や腰ばかり頑張る形になりやすくなります。
たとえば、ボールを投げるときに腕だけになったり、上を向く動きで腰を反りすぎたりすることがあります。
一見よく動いているようでも、本当に動いてほしい場所が働いていないことがあります。
見られやすいサイン:スマホやタブレットを見て猫背になっている
3. 股関節が硬い
しゃがむ、踏ん張る、走る、止まる。
こうした動きの土台になるのが股関節です。
ここがうまく使えないと、膝ばかり頑張ったり、腰が高いまま動いたりしやすくなります。
切り返しで流れる、踏ん張れない、しゃがみが浅いという場面にもつながりやすいです。
「足の力が弱い」というより、うまく使う場所がずれていることもあります。
見られやすいサイン:体が硬くてしゃがみ込みが出来ない
4. 前ももばかり頑張りやすい
脚を使うときに、太ももの前で頑張るクセが強い人がいます。
もちろん前ももも大切ですが、そこばかりに頼ると、動きが硬く見えたり、疲れるとフォームが崩れやすくなったりします。
走るとバタバタしやすい、着地が重い、すぐ脚が張るという子にも多い印象です。
本来は、もも裏や股関節まわりも含めて、脚全体で支えたり動いたりしたいところです。
見られやすいサイン:ももの前が太い
5. 身体の中心と手足がつながりにくい
体幹で支えた力が、腕や脚までうまく届いていないことがあります。
そうすると、全身を使っているつもりでも、最後は腕だけ、脚だけで何とかしようとする動きになりやすいです。
たとえば、シュートで下半身の力が上半身に乗らない、投球で腕だけが頑張る、といった形です。
ここで大事なのは、ただ動けるかどうかではありません。
力が通った状態で動けているかを見ることで、本当の意味での連動が見えてきます。
見られやすいサイン:手先・足先で動いているように見える
6. 手足を狙った位置に保つのが苦手
フォームを教わっても、毎回少しずつズレる人がいます。
それは「覚えていない」からではなく、動いている中で手足を安定して保つのが難しいからかもしれません。
投げる、蹴る、受ける、ジャンプする。どれも、身体を動かしながら手足を狙った位置に保つ力が必要です。
「形は知っているのに再現できない」というときは、この要素が関係していることがあります。
見られやすいサイン:教わったことを再現できない
7. 足元で地面をうまく踏めない
身体を動かす出発点は足元です。
足で地面をうまく感じられないと、踏ん張る、止まる、切り返す、押し返すといった動きが安定しにくくなります。
低い姿勢を取れない、すぐ流れる、踏み込みが弱いという形で見えることもあります。
足の形だけではなく、
どこに乗っているか、どう地面を受けているか、どう押し返しているか
も大切なポイントです。
扁平足や捻挫をしたことがあると、特に足を上手く使えない選手が多いです
見られやすいサイン:扁平足or 捻挫をしたことがある、足がバタバタするように見える
8. 頭や首の位置が傾いている
頭の位置が大きくぶれると、身体全体の軸も乱れやすくなります。
首に力が入りやすい、視線が安定しにくい、頭が傾きやすい。
こうしたことが、バランスや動きのまとまりに影響することがあります。
手足の問題に見えても、実は頭や首の位置から崩れていることもあります。
ここは見落としやすいですが、意外と大事な土台です。
見られやすいサイン:耳の高さが違う、首が傾いている
9. 人の指示を優先しすぎて、自分の感覚が育ちにくい
これは身体だけの話ではありません。
真面目な子ほど、コーチや親の言うことをしっかり守ろうとして、自分の感覚よりも“正しい形”を優先しすぎてしまうことがあります。
すると、かえって身体が固くなったり、動きを自分で調整しにくくなったりすることがあります。
それ自体は悪いことではありません。
むしろ、一生懸命な証拠です。
ただ、動きは外から教わるだけでなく、自分の中で感じて、つかんでいくことも大切です。
真面目な子ほど、この視点が抜けると苦しくなりやすいと感じています。
見られやすいサイン:真面目で頑張り屋さん
9つの特徴は、別々ではなくつながっている
実際には、この9つのうちどれか1つだけ、ということはあまり多くありません。
たとえば、
- 足元が不安定だから身体の真ん中もぶれやすい
- 股関節が使いにくいから前ももで頑張りやすい
- 背中が動かないから肩や首に力が入りやすい
- 人の指示を意識しすぎて身体が固くなる
というように、身体はつながっています。
だからこそ、1か所だけを見て終わりにしないことが大切です。
どこで支えが切れているのか。
どこで力が伝わりにくくなっているのか。
どこで本人の感覚が置いていかれているのか。
そこを整理していくことで、はじめて「何を変えるとよいか」が見えやすくなります。


「運動神経が悪い」で終わらせなくていい
運動が苦手に見える人にも、改善の余地は十分あると考えています。
もちろん、すぐに全部が変わるわけではありません。
でも、「この子はセンスがない」「自分は運動に向いていない」と決めつけてしまう前に、身体の見方を少し変えてみる価値はあると思っています。
実際、見方が変わるだけで、
- 声かけの仕方が変わる
- 練習の選び方が変わる
- 本人の感じ方が変わる
- 無理に頑張る場所が整理される
ことがあります。
そうすると、「頑張っているのに伸びない」と見えていたものが、少しずつ整理されていくことがあります。
努力が足りなかったわけではなく、
努力が実りやすい身体の土台が、まだ整いきっていなかった
ということもあるのだと思います。
次回
次回からは、この9つの項目をひとつずつ取り上げながら、
- どんな動きに表れやすいのか
- どう見分ければよいのか
- なぜそこが大事なのか
- どう整えていくと変わりやすいのか
を、現場での視点も交えながら、もう少し具体的に書いていきます。
「うちの子にも当てはまるかもしれない」
「自分はどこでつまずいているのか知りたい」
そんな方の整理のヒントになればうれしいです。
努力しているのに結果が出ない理由を、一度整理したい方は、学生アスリート向けサポートページもご覧ください。
監修・執筆:保健学修士/理学療法士 ユウヘイ
著者について











