
軸って何?体幹や腹筋でプレーが向上しない理由

「うちの子、体幹が弱いみたいで」「軸がブレるってコーチに言われたんです」
保護者の方からそんな相談を受けることがあります。
選手自身も「もっと体幹を鍛えなきゃ」と思っている。
でも、プランクや腹筋を続けても、なかなかプレーが変わらない。そんな経験はないでしょうか。
「軸」って、そもそも何だろう
スポーツの現場では「軸がある」「軸がない」という言葉がよく使われます。ただ、この言葉は実はかなりあいまいです。姿勢がまっすぐなことを指す人もいれば、ブレないことを指す人もいるし、力がしっかり伝わることを言っている場合もあります。

選手の動きを見る中で、軸というのは「体の中の一本の棒」のようなものではないと考えるようになりました。
もう少し具体的に言うと、軸とは「地面を押した力が、足から脚、腰、体幹へとつながって、動きたい方向にちゃんと届いている状態」のことです。
たとえばジャンプを想像してみてください。地面をグッと踏むと、その反動が体に返ってきます。この力が足首、膝、股関節、腰、上半身へとスムーズにつながれば、体全体がまとまって上に飛べます。でも途中のどこかで力の流れが止まってしまうと、膝だけで頑張ったり、腰に負担がかかったりします。

つまり「軸がある」というのは、見た目がまっすぐかどうかではなく、力がちゃんとつながっているかどうか。これが私の考える軸の正体です。
軸とは:力が伝わる体の状態が作れるか
体幹トレーニングだけでは変わりにくい理由
「体幹が弱いなら、体幹を鍛えればいい」これはとても自然な発想です。でも実際には、体幹トレーニングを続けても動きが変わらないケースが少なくありません。
理由はシンプルで、体幹は力の”通り道の一部”であって、”出発点”ではないからです。
スポーツの動作では、まず地面を踏み、その反力が足首、膝、股関節を経由して体幹に届いたとき、はじめて体幹は「支える」「伝える」という仕事ができます。もし足元や股関節のあたりで流れが途切れていたら、そもそも体幹まで力が届きません。
この状態でいくら体幹だけを鍛えても、プランクの姿勢は長く保てるようになるかもしれませんが、実際のプレーでの「ブレ」は変わりにくいのです。
ホースで水を流すときに似ています。途中でホースが折れていたら、蛇口を全開にしても先まで水は届かない。体幹を鍛えるのは、ホースの先端を太くするようなもの。無駄ではないけれど、途中の折れを直さない限り、流れは変わらないということです。
「頑張っているのに伸びない」の裏側
「練習はサボっていないのに記録が伸びない」「力んでいるのに速くならない」。そういう選手を見ていると、筋力や努力が足りないのではなく、力のつながり方に問題があることが少なくありません。
たとえばスクワットをしてもらうと、それがよく見えます。しゃがんでいく途中で膝が内側に入ったり、腰が丸まったりすると、せっかく地面から受け取った力が途中で途切れてしまいます。すると立ち上がるときに、体全体でスッと上がるのではなく、太もものだけで「よいしょ」と踏ん張るような動きになります。

これは筋力不足というより、力の通り道が途切れている状態です。だからいくら筋トレを足しても、その「通り道」自体が整わない限り、同じパターンが繰り返されやすい。頑張っているのに結果が出ないときの背景には、こういう仕組みが隠れていることがあります。
筋力をつける前に力が伝わる身体づくりが大切
大事なのは「力をつなげる順番」を整えること
ではどうすればいいのか。いきなり激しいトレーニングをするよりも、まずは力の通り道がどこで途切れているかを見つけることが大切です。
足の裏でしっかり地面をとらえられているか。膝や股関節がスムーズに動いているか。腰から上に力が伝わっているか。こうしたことを一つずつ確認しながら、つながりを取り戻していく。
「体幹を鍛える」という発想だと、体幹だけを切り取って強くしようとしがちです。でも体は全部つながっているので、足元から順番に力が通る状態を作っていく方が、結果的には動きの質が変わりやすいと私は感じています。
改善例
ジャンプ力が伸びずに悩んでいた高校生のバスケ選手がいました。スクワットで見ると、しゃがむ途中で骨盤が後ろに傾いて、地面からの力が途中で途切れていました。そこを修正しながら練習を続けたところ、筋力自体は大きく変わっていないのに、跳躍が伸びたのです。
まとめ
「軸を作る」とは、体の中に棒を入れることではなく、地面から受け取った力をつなげていくこと。その視点を持つだけで、お子さんの動きの見え方が少し変わるかもしれません。
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監修・執筆:保健学修士/理学療法士 ユウヘイ
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