スポーツで力が伝わらない選手の特徴|ぎこちない動きの原因を解説

選手の動きを見ていて、

「大きく動いているのに、なぜか力が伝わっていない気がする」
「腕や脚を一生懸命使っているのに、ボールが飛ばない」
「頑張っているのに、動きがバラバラに見える」

そのように感じたことはないでしょうか。

こうした状態は、単に筋力が弱いから起こるわけではありません。
また、やる気や努力が足りないからでもありません。

目次

四肢の運動が末端につながらない状態とは

身体には、本来、足元から生まれた力や体幹で作られた動きが、肩や骨盤を通って、腕や脚の先まで自然につながっていく仕組みがあります。
しかし、そのつながりがうまく作れないと、末端の動きだけで頑張る形になりやすくなります。

その結果、見た目には動いていても、力が伝わらない、タイミングが合わない、ぎこちないといった印象になりやすいのです。

下半身からの力が腕に伝わらず腕だけで投球をしている中学生アスリートのイラスト

このタイプの子に見られやすいこと

この状態では、見た目にいくつか共通する特徴が出ることがあります。

・大きく動いているように見えるのに、動きにまとまりが出にくい
・リズムが合いにくく、タイミングがずれやすい
・腕や脚の一部ばかりが頑張ってしまい、全身で動いている感じが出にくい
・頑張っているのにスピードや強さが伸びにくい

本人は一生懸命やっているのに、周りからは「力んでいる」「ぎこちない」「センスがないように見える」と受け取られてしまうこともあります。

力がうまく伝わらず不安そうな表情でプレーする中学生バドミントン選手のイラスト

動作の中ではどう見えるのか

スクワットや重心を落とす動き

しゃがむ動きや重心を落とす動きでは、足元で受けた力を、膝や股関節、骨盤を通して体幹につないでいく必要があります。

ですが、このタイプでは、足元の支えが不安定だったり、膝や股関節でうまく受けられなかったりして、途中で力が逃げやすくなります。

そのため、しゃがむことはできても、そのあと切り返して動き出す場面で弱さが出やすくなります。
ジャンプやダッシュ、方向転換などで「ためがない」「押し返せない」といった形で表れやすいことがあります。

ラケットを振る動き

ラケットスポーツでは、本来、足で踏ん張った力が骨盤、体幹、肩、腕へとつながり、最後にラケットの先が走るように動きます。

しかし、このつながりが弱いと、肩まわりで無理に形を作ろうとしやすくなります。
特に、肩甲骨を強く寄せて構えを作り、そこから腕だけで振るような形になりやすいことがあります。

すると、振りかぶりは大きく見えても、体幹の勢いがラケットの先までうまく伝わりません。
結果として、見た目ほどボールに力が乗らず、腕に頼ったスイングになりやすくなります。

野球のピッチングの動き

投球では、片脚で立ったときにしっかり支えながら、下半身から体幹、そして腕へと力をつないでいくことが大切です。

このタイプでは、支える脚で十分に踏ん張れず、骨盤が流れたり、体幹が早く開いたりすることがあります。
すると、本来ためておきたい力が途中で逃げやすくなります。

その結果、腕が先に頑張る投げ方になりやすく、リリースまでの流れが急ぎ足になります。
見た目には、上半身だけで投げているように見えることがあります。

バスケットボールのシュート

シュートでは、脚で地面を押した力が上へ伝わり、その流れの中で腕が自然にボールを押し出していくことが理想です。

しかし、このタイプでは、脚で押し上げるタイミングと、手を出すタイミングが合いにくいことがあります。
そのため、脚の力が腕にうまく乗らず、最後は腕だけで打つような形になりやすくなります。

すると、力を入れているわりに飛距離が出にくい、ボールの速さが安定しない、リリースがばらつくといったことが起こりやすくなります。

下半身からの力が腕に伝わらず腕だけでシュートをしている中学生アスリートのイラスト

身体にはどんな特徴があるのか

①胸まわりが硬く、反りやすい(猫背)
②足首の捻挫をくり返している
③足元から膝、股関節までの並びが崩れやすい
④肩甲骨を寄せすぎる
⑤肩甲骨を前から支える筋肉が弱い
⑥体幹のひねりを支える力が弱い

①胸まわりが硬く、反りやすい(猫背)

胸まわりがうまく動かないと、肩甲骨が自然に動く土台が作りにくくなります。
すると、腕を上げる動きや振りかぶる動きで、肩や腰に頼りやすくなります。

その結果、体幹で作った動きが腕につながりにくくなり、肩だけで頑張るような動きが増えやすくなります。

②足首の捻挫をくり返している

足首の捻挫をくり返している子では、足元で踏ん張る感覚や、片脚で支える安定感が落ちていることがあります。

もちろん、捻挫をした子がすべてこのタイプになるわけではありません。
ただ、足元の不安定さが残っていると、地面から受けた力を上へ伝える流れが乱れやすくなることがあります。

そのため、踏ん張る場面や切り返す場面で、全身の連動に影響が出ることがあります。

③足元から膝、股関節までの並びが崩れやすい

足元の向きや膝の位置、股関節の使い方のバランスが崩れると、下半身で受けた力がきれいに上へ伝わりにくくなります。

こうした状態では、踏ん張っているつもりでも力が分散しやすく、骨盤や体幹までスムーズにつながりません。
そのため、片脚動作や方向転換でぐらつきやすくなることがあります。

④肩甲骨を寄せすぎる

このタイプでは、肩甲骨を寄せて固めることで安定を作ろうとすることがあります。

一見すると、姿勢が整っているように見えるかもしれません。
ですが、必要以上に寄せて固めてしまうと、肩甲骨が自然に動けなくなり、体幹の動きが腕へ伝わりにくくなります。

その結果、肩まわりだけで頑張る動きになりやすく、しなやかさが失われることがあります。

⑤肩甲骨を前から支える筋肉が弱い

肩甲骨は、背中側だけでなく、前側からも支えられています。
この支えが弱いと、肩甲骨が胸の上で安定して動きにくくなります。

すると、腕を上げる、押し出す、振るといった動きの中で、肩まわりの力の流れが途切れやすくなります。
その結果、体幹で作った力が手先まで届きにくくなります。

⑥体幹のひねりを支える力が弱い

体幹は、ただ大きく動けばよいわけではありません。
ひねるときにも、支えながら動くことが大切です。

この支える力が弱いと、体幹を動かしていても、その動きが腕や脚の力につながりにくくなります。
見た目にはよく動いていても、実際には力がまとまらず、末端の加速に結びつかないことがあります。

このタイプの本質

このタイプの本質は、筋力がないことだけではありません。
柔軟性がないことだけでもありません。

身体の中心で生まれた力や動きが、肩や骨盤を通って、手先や足先までうまくつながっていないことが大きな特徴です。

そのため、大切なのは「どこまで動くか」だけを見ることではありません。
どれだけしなやかに、どれだけ支えながら、どれだけ力をつないで動けるかを見ることが大切です。

改善のために大切なこと

このタイプに必要なのは、腕だけ、脚だけを鍛えることではない場合があります。

まずは、足元で受けた力をしっかり支えられること。
そこから骨盤や体幹につながること。
そして、肩や腕、あるいは脚の先まで自然に流れていくこと。

この順番を身体の中で少しずつ作っていくことが大切です。

肩甲骨や骨盤が、ただ固まるのではなく、必要な安定を保ちながら動けるようになること。
体幹が大きく動くだけでなく、四肢につながる土台として働けるようになること。
そうした積み重ねによって、動きは少しずつ変わっていきます。

うまくつながらない子は、伸びしろがある子でもある

今は、腕や脚だけで頑張って見えるお子さんでも、身体のつながりが整ってくると、急に動きが変わることがあります。

力みが減って、動きが軽くなることがあります。
タイミングが合いやすくなり、フォームの再現性が上がることもあります。
今までより少ない力で、ボールが飛ぶ、動き出しが速くなる、疲れにくくなるといった変化につながることもあります。

身体の使い方が整いスポーツ動作がスムーズになった中学生アスリートのイラスト




力が伝わらない選手は原因を分析して専門家のアドバイスとを受けることお勧めします。
コンフォートでは、身体の使い方や骨格を丁寧に評価し、その選手にあったトレーニングでサポートします。

走りが重い、力が伝わらない、ケガを繰り返す子は、学生アスリート向けサポートページもご覧ください。

監修・執筆:保健学修士/理学療法士 ユウヘイ 
著者について

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この記事を書いた人

群馬県太田市で、理学療法士として整体・パーソナルトレーニング・学生アスリートサポートを行っています。

このブログでは、動きがぎこちない子ども、頑張っているのに結果が出にくい学生アスリート、長年不調を抱える方に向けて、身体の使い方や運動の見方をわかりやすく発信しています。

「努力が実る身体の使い方」を大切に、一人ひとりの身体に合わせた視点で、現場で感じたことを丁寧にお伝えしています。

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