腰痛は気持ちの問題??-心理と腰痛の関係性-
気持ちと腰痛
腰痛は筋肉の緊張や関節の問題などの物理的な原因が考えられます。しかし心理的な要因も痛みの発生や継続に影響を与えることが知られています。特に慢性腰痛と呼ばれる、3ヶ月以上腰痛が続く場合は脳や心理の問題が関係している場合があります。
慢性腰痛と脳の容積
慢性の痛みは脳の容積を減少させる可能性があります。具体的には、前頭前野領域での減少が報告されています。前頭前野に損傷があると、洞察力に欠け、将来の計画を立てるのが難しくなります。意思決定能力や意欲の低下を招きます。慢性的な痛みの経験は脳の構造そのものを変える可能性があり、性格にも影響を与えます
痛みの悪循環
痛み不安な気持ちやネガティブな状況があることで悪循環に陥ることがあります。不安な気持ちから体が動かせず、筋力低下や関節が硬くなる、すると痛みを感じやすくなるという状況です。
どうすればいい?
慢性疼痛を持つ人が取りがちな行動
- 痛いから動かない
- 湿布や電気をあてる
- 温める、冷やす
- 牽引する
- マッサージを受ける
慢性的な痛みを抱える人は湿布や電気など他の力に頼って治そうとしがちです。
物理療法や徒手療法といった、どちらかというと受け身な治療は改善に効果が見られないことが多いです。
慢性腰痛を改善していく方法
- 痛みが増加しない程度に動く
- 運動療法を行う
- 認知行動療法を行う
- ヨガやピラティスを行う
- 痛みに執着しない
運動療法を行う
歩く、自転車などの有酸素運動や、筋力増強運動、ストレッチなどは効果が認められています。
認知行動療法を行う
精神療法の一種で、物事の受け止め方にアプローチします。ネガティブな感情に支配されやすい方や自己肯定感の低い方にはおすすめです。
ヨガやピラティスを行う
運動療法や認知行動療法は専門家の元で行われますが、一般的なフィットネスで取り組みやすいアプローチです。ヨガは心理面への効果、ピラティスは姿勢への効果が大きく出る傾向があります。
痛みに執着しない
これが一番大切なポイントです。難しいですが、「痛みを改善するには痛みを改善しようと思わないこと」です。何を言っているのと思われますが、治療をして「痛みが改善するかどうかではなく、何が出来るようになったか」に意識を向けることが大切です。例えば、少し歩く距離が長くなった、仕事に行けるようになった、少しの変化、生活の変化に目を向けることが大切です。生活が変わっていくと自然と気づいたら痛みがなくなっていたというのが慢性疼痛の痛みの軽減の仕方になります。
最後に
私の体と心は密接に関係しています!腰痛は単なる肉体的問題だけでなく、ストレスや不安、抑うつなどの心理的要素も大きく影響しています。治療アプローチにおいても、心理的側面を考慮することで、より効果的で持続可能な改善を見込める可能性があります。心と体の両方に焦点を当てることで腰痛の問題を解決することが出来るかもしれません。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。怪我や病気について疑問や懸念がある場合は、必ず医療専門家に相談してください。この情報をもとに自己診断や治療を試みることは避けてください。また、記事中で触れている予防法や対処法は全ての人に効果があるわけではありません。体調や状況によっては逆効果になることもあります。特に、怪我をしたと思われる場合はすぐに専門的な医療機関に連絡をとることをおすすめします。
参考:森岡周,『ペインリハビリテーション』,三輪書店,2011